私がひっかっかたところの話である.
松坂和夫「集合・位相入門」第3章 §3 A) 整列集合に関する一命題(105頁)
補題1(106頁)の条件;
- ( a ) 各\(W_{\lambda}\)に,それぞれ順序\(\leqq_{\lambda}\)が定義されている.
- ( b ) \(\left(W_{\lambda},\,\leqq_{\lambda}\right)\),\(\left(W_{\lambda'},\,\leqq_{\lambda'}\right)\)のいずれか一方が他方の切片になっている.
に対して,証明 ( 2 ) で
- (条件 ( b ) より)\(\left(W_{\lambda},\,\leqq_{\lambda}\right)\),\(\left(W_{\lambda'},\,\leqq_{\lambda'}\right)\)のいずれか一方が他方の切片,したがって,部分順序集合であるから,・・・
と書いてある.
この部分を読んで,本当に部分順序集合であるといえるのか? と思った.
条件 ( a ) より,\(W_{\lambda'}\)上において,\(\leqq_{\lambda}\) と \(\leqq_{\lambda'}\) は一般には異なる.
\(\left(W_{\lambda'},\,\leqq_{\lambda'}\right)\) が \(\left(W_{\lambda},\,\leqq_{\lambda}\right)\) の切片になっているとすると,ある\(a\in W_{\lambda}\)に対して,
\[
\left(W_{\lambda'},\,\leqq_{\lambda}\right) = \left(W_{\lambda},\,\leqq_{\lambda}\right) \left< a\right>
\]
であり,
\[
\left(W_{\lambda'},\,\leqq_{\lambda}\right)\ne\left(W_{\lambda'},\,\leqq_{\lambda'}\right)
\]
となりそうなものだ.
つい最近になって,
\[
\left(W_{\lambda'},\,\leqq_{\lambda}\right)=\left(W_{\lambda'},\,\leqq_{\lambda'}\right)
\]
となるということを,あの条件 ( b ) が示していることに気付いた.
それまでは,( b ) に「かつ部分順序集合である」という条件が必要だろうと思っていた.
-
一般的なかたちで書いておく;
\(\left(W,\,\leqq_{W}\right)\),\(\left(J,\,\leqq_{J}\right)\) を整列集合とする.
ここで,台集合 \(J\) に対して,
- \(J\) が \(\left(W,\,\leqq_{W}\right)\) の切片である.
というとき, \(J\) は \(\left(W,\,\leqq_{W}\right)\) の部分順序集合であると考えることが多い.したがって, \(J\) を順序集合として考えるとき,\(\left(J,\,\leqq_{W}\right)\) と考えるのが自然である.
また,一般に,\(\left(J,\,\leqq_{J}\right)\ne \left(J,\,\leqq_{W}\right)\) である.
一方で,
- \(\left(J,\,\leqq_{J}\right)\) が \(\left(W,\,\leqq_{W}\right)\) の切片である.
というとき,ある \(a\in W\) に対して,
\[
\left(J,\,\leqq_{J}\right) = \left(W,\,\leqq_{W}\right)\left< a\right>
\]
であり,
\[
\left(J,\,\leqq_{W}\right) = \left(W,\,\leqq_{W}\right)\left< a\right>
\]
である.したがって,
\[
\left(J,\,\leqq_{J}\right) = \left(J,\,\leqq_{W}\right)
\]
である.
-
※私はこういうところでけつまづくのです.
ついでながら,マストドンのほうもよろしくお願いします;
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