2016年11月1日

小林貞一「集合と位相」

コンパクトな教科書であるが,この本がなければ,自著「集合論」は完成しなかったかもしれない.


集合論の部分を読んでみて感じたところは,以下の通りである.

★定理の証明・問の解答を省いていない
定理の証明,問や章末問題の解答は省略せずにすべて書いてあるようだ.

私が目の敵にしている「証明・解答の省略」は,この本にはなかったように思う.見た限り,少なくとも略解・ヒントは載せてある.

こういう当たり前のことで,評価が甘くなるというのも変な話ではある.


★センスの無い例え話もない
集合の対等に関する,リンゴのたとえ話はどうなんだということはあるが,御愛嬌ということで流す.

また,全体的に読みやすい文章である(引っかかる文章が見当たらなかったという方が正確かもしれない).


◆ツォルンの補題は省かれている
順序数については書いてあるが,ツォルンの補題については省かれている.

位相には関係ないから省いたのかもしれないが,本のタイトルに「集合」とある以上,集合に関しては一通り書くべきだ.


◆新刊では入手できない
オンデマンドでも電子書籍でも良いので,新刊で購入できるようになることを願う.

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付帯的な説明は少なめで,要点を手際よくまとめたという印象である.




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