私に集合論を書くきっかけを与えてくれたのがこの本である.
集合論の部分を読んでみて感じたところは,大体において以下の通りである.
◆納得の押しつけ
たとえば,第1章 §1 D)部分集合で,命題「PならばQ」の真偽についての説明があるが,この説明ではとても納得できない.しかも「以上で・・・論理法則上自然な約束であることが納得されたであろう」とはなんという書き方であろうか.納得するかしないかは読み手の判断であって,書き手が勝手に決めることではない.
「Pが偽のとき,『PならばQ』は真である」を納得してもらうように説明することは容易ではない.
◆たとえ話
「対応」の説明での「選挙人と被選挙人」のたとえ話はなんのために入れたのだろうか.対応の考え方はそんなにわかりにくい概念ではない.
理解を手助けするためのたとえ話なら,上記の「PならばQ」の説明にこそ必要だ.
◆「明らかに◯◯」という個所か少なからず見受けられる.むしろ多い.
私にとって,明らかではない個所がある.いったい何のために途中を省略するのか.説明が面倒なら本など書くなといいたい.
◆証明を省略している.
証明を演習問題としたり,読み手に丸投げすることは別にかまわないが,その解答を載せないというのは問題である.
◆くどい説明
説明すべきを説明するためにくどくなっているのなら構わないのだが,全体的に,要領を得ないくどさであると感じる.
くどいのがダメというわけではない.たとえば,橋本治の文章のくどさは嫌いではない(読むのは疲れるが).
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揚げ足とりの,こき下ろしな感想だが,腰を据えて読んでみてのことだから仕方がない.このエントリーの第一稿はもっとボロカスに書いていたが,夜中に勢いで書いたものだったので,ボツにした.
集合論に関して,まともに読んだ最初の本である.読み進めるうちに,わからなさと共にだんだん腹が立ってきて,いっそのこと(自分用の)教科書を書いてしまえとなった.他の本で学び始めれていれば,また違ったかもしれない.
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