2018年5月10日

演算の定義(群・環・体の準備)

群・環・体の定義の前に,演算についてこれぐらい書いておいてもらわないと,私にはわからないので,自分なりに演算の定義をまとめておく.

拙著「集合論」を読まれた方には見慣れた書き方と思うが,私の「書式」には本文がほとんど無く,「定義・定理・証明・補足 」が淡々と続く.以下でもその方法を踏襲している(自分で「タナカ式」とよんでいます).

なお,集合論(今回の場合は「写像」)については既知であるとして説明している.

✅手元の iPhone で確認したところ, スマホモードではTeXコードが表示され,Webモードでは,数式の表示が一部うまくいかないようです.


演算 


定義(演算).X を集合とする.写像 g:X×XX
  • 集合 X 上の演算
という.


定義(積).集合 X 上に演算 g が定義されているとする.このとき,(a,b)X×X の像 g(a,b)といい
ab

とあらわす.


補足.集合 X 上に定義されている演算g を,その積の記号を用いて

演算

とよくあらわす.


定義(単位元).集合 X 上に演算 が定義されているとする.ある要素 eX が存在して,任意の aX に対して,ae=ea=a
であるとき,e単位元という.


補足.演算 における単位元 e

0
1

などとよくあらわす.


定義(逆元).集合 X 上に演算 が定義されているとする.任意の aX に対して,ある bX が存在して,
ab=ba=e

であるとき,b を「a逆元」という.


補足.演算 における a の逆元を

a
a1

などとよくあらわす.


定義(可逆元).集合 X 上に演算 が定義されているとする.任意の aX に対して,a の逆元が存在するならば,a可逆元という.


定義(可換).集合 X 上に演算 が定義されているとする.任意の aX に対して,ある bX が存在して,

ab=ba

であるとき,「a,b可換である」という.


定義(結合律).集合 X 上に演算 が定義されているとする.任意の a,b,cX に対して,

(ab)c=a(bc)

であるとき,これを結合律という.


定義(分配律).集合 X 上に2つの演算 , が定義されているとする.任意の a,b,cX に対して,
a(bc)=(ab)(ac)

であるとき,これを分配律という.


-


以上である.


これらの定義は,群・環・体の定義の中で述べられることが多いが,私はそれを見て,どうにもスッキリせず,モヤモヤしていた.

モヤモヤの原因が何であるのかわからなかったのだが,試行錯誤するうち,演算に関する定義を抜き出して,先に述べてから,群・環・体の定義を書けば流れるように読めることがわかった.

やはり,わからないと思ったら,自分で再構成するほか無いようだ.

というわけで,次回は(多分)群・環・体の定義である.





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