今回は位相空間の教科書を紹介する.
例によってややディスり気味の文章だが,私のブログを見てくれている方は,もう慣れていると思いたい.
今回挙げる中で初学者に一番向いていると思うのがこれ.
ユークリッド空間から距離空間,そして位相空間へと,直観的な説明を交えて急がずに,外堀からジワジワ攻めていくような説明.
位相空間をある程度わかっている人にはじれったく感じるかもしれない.
上記「位相空間」と同じ内容が,後半に述べられている.
個人的には,この本の方が好み.付帯説明が少なめで,中身が引き締まっているような感じである.
位相空間でよく挙げられる教科書の一つ.
全体的にスッキリとした説明で,悪くはないのだが,定義を地の文で書いてしまうのはどうかと思う.
定番としてよく挙げられるのがこれ.
内容云々よりも,説明の順序が一本道になっていないように感じるのと,所々,饒舌すぎる点があるような印象.今となっては一番におすすめする本ではないと思う.
とはいいつつも,やっぱりこの本を参照してしまう.そういうところが「定番」なのかもしれない.
位相空間の教科書のおすすめで挙げられることはないが,個人的に気に入っているもの.
演習本なので,詳しい説明はないのだが,要点がコンパクトにまとまっていて,気に入っている.
致命的ではないが,定義で所々細かい条件が抜けているとこがあって,前提を暗黙の了解にしているように感じる部分がある.
本格的に入門したい方はこちらをどうぞ.
森田紀一 位相空間論
パラパラとしかみていないので,おすすめも,ボヤキもできないのだが,専門家が書いた教科書ということで.
30頁の集合論の説明のあと,10頁ほど,ユークリッド空間・距離空間の解説がある.全体の8割方が位相空間についての説明.
もっと本格的に入門したい方はこれ.
児玉之宏 永見啓応 位相空間論
この教科書の「位相」は「閉包」による定義から始まる.その後,私がどうしたかは「お察し」である.
始めの10頁ほどで集合論について述べ,いきなり位相の定義から始まる.400頁超えの大著.
教科書を見て気に入らない部分があるから,自分用の「教科書(集合論)」を書き始めたわけで,紹介文の「ディスり」がなければ,私は教科書を書かなかったし,このブログを開設することもなかったはずだ.
なので, 位相空間に関してもそのうち自分用の教科書を書くことになると予想.
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ということで,次回はどの分野の教科書を紹介するか,考え中.
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2018年4月30日
2018年4月22日
数学お勧め本その4[素朴集合論]
素朴集合論の教科書.
関係ないが,私は「素朴集合論」を「前期集合論」とよびたいとそれとなく思っている.量子論の「前期量子力学」になぞらえるのと,「公理的集合論」に対する言い方として.
以下に挙げるオススメは,私が集合論を書くときによく参考にしたものの中で,新刊で手に入る本だ.
一冊目に挙げるのはこれ.
「むすび」で素朴集合論で生じる矛盾とクラスについての記述が,「付録」で公理的集合論(BGの体系)についての記述がある.
内容とは関係ないが,時折出てくる「しからば 〜」という表現が妙に気に入っている.
参考エントリー
集合論の教科書の定番としてよく挙げられるのがこれ.
私の書いた「集合論」はこれを底本にした.
所々,不必要に詳しく書いてあるのに,定理の証明は読者に丸投げするなど,記述の落差が激しい.
一通りの項目について書かれてあるので,集合論の教科書としてよく挙げられるのだと思うが,私のレベルの者が読もうとすると,本書で省略された証明を探して副読本が数冊必要だった.
参考エントリー
執筆中,これもよく参考にした.
上記【松坂】と比較すると,簡潔に書かれているという印象.【松坂】の妙にくどい説明は見当たらない.
順序集合についての記述はあるが,順序数についての記述はない.
参考エントリー
これは少し毛色の違う集合論の教科書.
「普通」の素朴集合論の教科書になれていると,戸惑うかもしれない.前書きにある「理論の構築過程を見せる」という著者の立場がそうさせているような気がする.
参考エントリー
素朴集合論と公理的集合論の隙間を埋めてくれる教科書.
パラパラと見た程度なので,詳しいことはかけないが,最後の頁に「選択公理を仮定しないと集合論はどうなるか」について簡単な記述がある.
もう一つ,私の書いた集合論.
PDF版(DLmarket)→ 【集合論(数学で行こう)第9.2版】
自分で「集合論」の教科書を書いた理由を書き始めると長い「ぼやき」になってしまうので,ここでは割愛する.ぼやきのエントリーはここ→ 集合論の本(冊子)を書いた
内容の特徴を一つ挙げるなら,それは「定理・命題の証明を省略せずにすべて書いた」という点である.
見た目の特徴を一つ挙げるなら,それは「本文がほとんど無く,その代わりに補足で埋めた」という点だ.
「集合論」の教科書は「位相」とセットになっている場合が多いが,「集合と位相」というタイトルの教科書の大半は「位相」メインになっていると思う.
ここには挙げなかったが,他にも多くの集合論の教科書がある.少し古い教科書になると,品切という名の事実上の絶版状態にあるものも多い.電子書籍で復活させる・オンデマンドでの販売にするなど,方法はあるはずだが,出版社の動きは重すぎて,話にならない.
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しかし,オススメと言いつつ,紹介文が全然オススメになっていない点は見逃して欲しい.集合論の教科書に関しては,前向きな見方ができない身体になってしまっているのだ.
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関係ないが,私は「素朴集合論」を「前期集合論」とよびたいとそれとなく思っている.量子論の「前期量子力学」になぞらえるのと,「公理的集合論」に対する言い方として.
以下に挙げるオススメは,私が集合論を書くときによく参考にしたものの中で,新刊で手に入る本だ.
一冊目に挙げるのはこれ.
「むすび」で素朴集合論で生じる矛盾とクラスについての記述が,「付録」で公理的集合論(BGの体系)についての記述がある.
内容とは関係ないが,時折出てくる「しからば 〜」という表現が妙に気に入っている.
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集合論の教科書の定番としてよく挙げられるのがこれ.
私の書いた「集合論」はこれを底本にした.
所々,不必要に詳しく書いてあるのに,定理の証明は読者に丸投げするなど,記述の落差が激しい.
一通りの項目について書かれてあるので,集合論の教科書としてよく挙げられるのだと思うが,私のレベルの者が読もうとすると,本書で省略された証明を探して副読本が数冊必要だった.
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執筆中,これもよく参考にした.
上記【松坂】と比較すると,簡潔に書かれているという印象.【松坂】の妙にくどい説明は見当たらない.
順序集合についての記述はあるが,順序数についての記述はない.
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これは少し毛色の違う集合論の教科書.
「普通」の素朴集合論の教科書になれていると,戸惑うかもしれない.前書きにある「理論の構築過程を見せる」という著者の立場がそうさせているような気がする.
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素朴集合論と公理的集合論の隙間を埋めてくれる教科書.
パラパラと見た程度なので,詳しいことはかけないが,最後の頁に「選択公理を仮定しないと集合論はどうなるか」について簡単な記述がある.
もう一つ,私の書いた集合論.
PDF版(DLmarket)→ 【集合論(数学で行こう)第9.2版】
自分で「集合論」の教科書を書いた理由を書き始めると長い「ぼやき」になってしまうので,ここでは割愛する.ぼやきのエントリーはここ→ 集合論の本(冊子)を書いた
内容の特徴を一つ挙げるなら,それは「定理・命題の証明を省略せずにすべて書いた」という点である.
見た目の特徴を一つ挙げるなら,それは「本文がほとんど無く,その代わりに補足で埋めた」という点だ.
「集合論」の教科書は「位相」とセットになっている場合が多いが,「集合と位相」というタイトルの教科書の大半は「位相」メインになっていると思う.
ここには挙げなかったが,他にも多くの集合論の教科書がある.少し古い教科書になると,品切という名の事実上の絶版状態にあるものも多い.電子書籍で復活させる・オンデマンドでの販売にするなど,方法はあるはずだが,出版社の動きは重すぎて,話にならない.
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2018年4月11日
数学お勧め本その3[数理論理]
普通なら,この辺で微積分とか線型代数の本を紹介するはずだが.私の場合はここから.
まずはこれから.
このブログでも以前,紹介している→ 前原昭二「記号論理入門」
自然演繹の入門書.文体や記号が古いといわれることがあるが,私は気にならない.むしろ御愛嬌.
内容については一点だけ気になるところがある;演繹の仮定除去が何故妥当なのかについての説明がない点である(上記ブログエントリーを参照).この点については,下記「鹿島亮・数理論理学」に説明がある(?).
最初の部分をパラパラと見ただけなのだが……
「前原・記号論理入門」ではなされなかった「演繹における仮定の除去」についての詳しい説明がある……ような気がする.
数理論理学への本格的な入門書というと,これになると思う.
前書きにもある通り,オーソドックスな部類の教科書.上で紹介した同著者の「記号論理入門」のあとなら(なんとか)読めるか.
この本は買ったまま,積ん読状態だ.
自然演繹・ヒルベルト流体系・ゲンツェン流シーケント計算の等価性が示されていると聞いて購入した.いつか読む日がこんことを(自分次第).
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自然演繹の入門書.文体や記号が古いといわれることがあるが,私は気にならない.むしろ御愛嬌.
内容については一点だけ気になるところがある;演繹の仮定除去が何故妥当なのかについての説明がない点である(上記ブログエントリーを参照).この点については,下記「鹿島亮・数理論理学」に説明がある(?).
最初の部分をパラパラと見ただけなのだが……
「前原・記号論理入門」ではなされなかった「演繹における仮定の除去」についての詳しい説明がある……ような気がする.
数理論理学への本格的な入門書というと,これになると思う.
前書きにもある通り,オーソドックスな部類の教科書.上で紹介した同著者の「記号論理入門」のあとなら(なんとか)読めるか.
この本は買ったまま,積ん読状態だ.
自然演繹・ヒルベルト流体系・ゲンツェン流シーケント計算の等価性が示されていると聞いて購入した.いつか読む日がこんことを(自分次第).
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