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2018年12月6日

【備忘録】対応の写像による定義

ふと思い立ってこういうことをツイートした;


もう少し見やすくまとめてみた;

対応の写像による定義A,B を集合とし,AA とする.このとき,写像 g:AP(B)
  • A から B への対応
という(以下これを G とあらわす).ただし,
G(x)={g(x)xAxA
とする.


補足.もとになる写像 g の始集合を A の部分集合としたのは,対応では,一般に始集合と定義域が一致しないことを考慮したためである.

補足P(B)B の冪集合である.

補足.定義が妥当かどうかは……どうなんだろうか.





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2018年12月3日

対応の定義に伴う基本命題

前回のエントリー「対応の部分集合による定義」の続き,対応の(部分集合による)定義に伴う基本命題とその証明である.

スマホで見る方は,LaTeXのソースが表示されていると思うので,一番下までスクロールして「ウェブバージョンを表示」をクリックしてみてください.



定理1ΓA から B への対応とする.このとき,次のことが成り立つ; D(Γ1)=V(Γ).
証明.対応の定義域の定義および対応の値域の定義より,
D(Γ1)={b|(b,a)G(Γ1)}V(Γ)={b|(a,b)G(Γ)}
である.また,逆対応の定義より,
(b,a)G(Γ1)(a,b)G(Γ)
である.したがって,D(Γ1)=V(Γ)



定理2ΓA から B への対応とする.このとき,次のことが成り立つ;
V(Γ1)=D(Γ).
証明.対応の定義域の定義および値域の定義より,
V(Γ1)={a|(b,a)G(Γ1)}D(Γ)={a|(a,b)G(Γ)}
であり,また,逆対応の定義より,
(b,a)G(Γ1)(a,b)G(Γ)
である.したがって,V(Γ1)=D(Γ)



定理3ΓA から B への対応とする.このとき,次のことが成り立つ;
(Γ1)1=Γ.
証明Γ の逆対応 Γ1:BAΓ1 の逆対応 (Γ1)1:AB を考える.逆対応の定義より,
(a,b)G(Γ)(b,a)G(Γ1)(a,b)G((Γ1)1)
である.したがって,G(Γ)=G((Γ1)1).対応の相当の定義より,(Γ1)1=Γ


補足.上記,アホアホしいほど,アホ丁寧な証明だが,このぐらい書かないと私がわからないのだ.

-

次回のエントリーでは,写像の定義にについて書く予定.気長に待たれよ.





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2018年12月1日

対応の部分集合による定義

前回のエントリー「対応と写像の定義【予告編】」の続き,対応の部分集合による定義である.

拙著「集合論」を読まれた方には見慣れた書き方と思うが,私の「書式」には本文がほとんど無く,「定義・定理・証明・補足 」が淡々と続く.以下でもその方法を踏襲している(自分で「タナカ式」とよんでいます).

スマホで見る方は,LaTeXのソースが表示されていると思うので,一番下までスクロールして「ウェブバージョンを表示」をクリックしてみてください.
 


定義(対応).A,B を集合,GA×B の部分集合とする.このとき,組 (A,B,G)
  • A から B への対応(correspondence)
という.


補足.対応をあらわす記号として
f,g,,F,G,,Γ,
などがよく用いられる(とはいうものの,Γ 一択のような気もする).


補足.対応 Γ=(A,B,G) を,
Γ:ABAΓB
などとよくあらわす.


定義(対応のグラフ).対応 Γ=(A,B,G) が与えられているとする.このとき,G
  • 対応 (A,B,G)グラフ(graph)
といい,
G(Γ)
とあらわす.


定義(対応による像).対応 Γ:AB が与えられているとする.このとき,aA に対して,
{b|(a,b)G(Γ)}

  • Γ による a(image)
といい,
Γ(a)
とあらわす.


補足.対応 Γ:AB において,a,aA,aa に対して,Γ(a)=Γ(a) であってもよい.また,Γ(a)= となるような aA が存在してもよい.


定義(始集合).対応 Γ:AB において,A
  • Γ始集合(initial set)
  • Γ始域
などという.


定義(終集合).対応 Γ:AB において,B
  • Γ終集合(final set)
  • Γ終域
などという.


補足.対応 Γ:ABaAΓ による像 Γ(a)
Γ:AB;aΓ(a)
とあらわすことがある(のかどうかはよく知らない.写像ではよくあるが,対応ではどうなのか).


定義(対応の相当).2つの対応 Γ:ABΓ:AB に対して,
G(Γ)=G(Γ),A=A,B=B
であるとき,
  • ΓΓ等しい
といい,
Γ=Γ
とあらわす.


定義(逆対応).対応 Γ:AB が与えられているとする.このとき,
H={(b,a)|(a,b)G(Γ)}
をグラフとする対応 (B,A,H)
  • Γ逆対応(inverse correspondence)
といい,
Γ1
とあらわす.


定義(対応の定義域).対応 Γ:AB が与えられているとする.このとき,
{a|(a,b)G(Γ)}

  • Γ定義域(domain)
といい,
D(Γ)
とあらわす.


補足.対応 Γ:AB において,始集合と定義域は必ずしも一致しない.


定義(対応の値域).対応 Γ:AB が与えられているとする.このとき,
{b|(a,b)G(Γ)}

  • Γ値域(range)
といい,
V(Γ)
とあらわす.


補足.対応 Γ:AB において,終集合と値域は必ずしも一致しない.


定義(対応の逆像).対応 Γ:AB が与えられているとする.このとき,Γ1 による B の要素 b の像 Γ1(b) を,
  • Γ による b逆像(inverse image)
  • Γ による b原像
などという.


定義(対応の合成).Γ1:ABΓ2:BC を対応とする.
G={(a,c)|bB((a,b)G(Γ1)(b,c)G(Γ2))}
とする.このとき,対応 (A,C,G)
  • Γ1Γ2合成対応
といい,
Γ2Γ1
とあらわす.


補足.(対応の合成の定義はこの通りらしいが,私が今ひとつピンときてないのはナイショ)


参考文献

-

以上,対応の部分集合による定義である.

なにかが抜けているような,なにかが足りないような気がしているが, そのときは適時追加します.

次回のエントリーはおそらく,対応の部分集合の定義に伴う基本命題の証明になると思われる.気長に待たれよ.






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