2017年7月6日

集合の要素の個数(ツイートまとめ)

集合の要素の個数(濃度)について前から疑問に思っていたことツイートしたのだが,その諸々のまとめ.


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集合の相等の定義は「2つの集合 A, B に対して,A の任意の要素が B の要素であり,かつ,B の任意の要素が A の要素である」である.したがって,

  • 2つの集合 $\{a, a, a\}$ と $\{a\}$ は等しい:$\{a, a, a\} = \{a\}$. 

 ということになるのだが,それらの要素の個数;

  • このとき,$\{a\}$ の要素の個数は1個だが,$\{a, a, a\}$ の要素の個数も1個なのか?

ということがよくわからないでいた.

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自分の感覚では $\{a, a, a\}$ の要素の個数は3個になるので,これを1個とするにはどうすべきかを考えていた.

  • 集合 $A$ の $=$ による商集合 $A\, / =$ の濃度を $A$ の濃度と考えれば,$\{a, a, a\}$ の要素の個数は1個になるか.

こんなことを書いている教科書は無い.

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結局のところ,疑問点はこれである;

  • 2つの集合が等しいとき,それらを同一視するというが,要素の個数(濃度)まで同一視するのだろうか.

集合の相等の定義は,集合の濃度の定義に影響しないのではないかと考えていた.すなわち,互に等しい集合の濃度が異なる場合があるのではないかということ.

その一方で,互に等しい集合の要素の個数が異なることが果たしてあるのだろうかとも考えていた.

互に等しいが濃度が異なる集合が存在すれば,(当然ながら)いろんなところで矛盾が生じるだろうからだ.

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そういうことを考えていたから,

  • まだもやもやしている.

こういう状態だった.

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このあたりのことを注意書きとしてあればそれで良いとは考えていたのだが,そのあたりのことを書いている教科書は少数派だった.

  • 「重複した要素は1つの要素と考える」という規約を設ければそれで良いという結論. 松坂7頁・大田2頁にその旨の記述があり,上江洲13頁の例で示唆しているが,他の本(内田・亀谷・加藤・竹之内・小森・志賀・赤・松村)には見当たらなかった.

あらためて著者と署名を挙げておくと,
上記にはそういう規約を示唆する記述があった.はっきりと書いてあるのは大田春外氏の教科書のみ.他の2書は示唆する記述だった(上記3書の記述は,今回の一連のツイートをするまで見落としていた).

下記にはなかった.
見落としはあるかもしれない.

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著者の皆さんにとっては,このようなことは当たり前すぎて,書くときに意識に昇らなかったのだろうか .

  • こういうのは,暗黙の了解で済ますのではなく,規約として明記すべきだと思うんだが.

それとも,暗黙の了解として当たり前のことと考えていたのだろうか.

こういうことは明示してくれないと,私のような人間が迷子になってしまう.

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自著「集合論」書いたときには明確な結論が出ていなかったので,スルーしたかたちになっていたのだが,

  • というわけで「集合論」次期第9版では規約として明記します.

結論が出たので,次の版で規約として追記する.





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