2018年5月28日

群・環・体の関係みたいなもの

こういう,公式みたいなまとめ方はあまりよくないと思いつつまとめてみた.

  • 半群
    • 演算+結合律

  • 単位元付半群
    • 演算+結合律+単位元
    • 半群+単位元 

    • 演算+結合律+単位元+逆元
    • 半群+単位元+逆元
    • 単位元付半群+逆元

  • 可換半群
    • 半群+可換

  • 可換群
    • 群+可換

    • 加法:可換群
    • 乗法:単位元付半群
    • 分配律

  • 可換環
    • 加法:可換群
    • 乗法:単位元付半群+可換
    • 分配律

  • 可除環
    • 加法:可換群
    • 乗法:群
    • 分配律

    • 加法:可換群
    • 乗法:可換群
    • 分配律

 -

前回のエントリーを書いてる途中,手元のメモでまとめてたものを吐き出してみた.

いってみれば,確認用.これで覚えようとしてはイケないと思う.





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2018年5月26日

群・環・体の定義

 前回のエントリー「演算の定義(群・環・体の準備)」の続きである.




定義(半群).G を空ではない集合とする.G 上に演算 が定義されており,次の性質を満たしているとする;
  • 【結合律】任意の a,b,cG に対して,(ab)c=a(bc)
このとき,(G,)半群という.


定義(単位元付半群).G を空ではない集合とする.G 上に演算 が定義されており,次の性質を満たしているとする;
  • 【結合律】任意の a,b,cG に対して,(ab)c=a(bc)
  • 【単位元】ある要素 eG が存在して,任意の aG に対して,ae=ea=a
このとき,(G,)単位元付半群という.


定義(群).G を空ではない集合とする.G 上に演算 が定義されており,次の性質を満たしているとする;
  • 【結合律】任意の a,b,cG に対して,(ab)c=a(bc)
  • 【単位元】ある要素 eG が存在して,任意の aG に対して,ae=ea=a
  • 【逆元】任意の aG に対して,ある bG が存在して,ab=ba=e
このとき,(G,)という.


補足.誤解の恐れが無ければ,(G,) を単に G とあらわす.


定義(可換群).G を群とする.G が次の性質を満たしているとする;
  • 【可換】任意の a,bG に対して,ab=ba
このとき,G可換群であるという.



定義(環).集合 A に2つの演算,加法 (+) と乗法 () が定義されているとする.A が次の性質を満たしているとする;
  • A は加法に関して可換群である;
    • 【加法の単位元】ある要素 e0A が存在して,任意の aA に対して,a+e0=e0+a=a
    •  【加法の逆元】任意の aA に対して,あるaAが存在して,a+(a)=a+a=e0
    • 【加法の結合律】任意の a,b,cA に対して,(ab)c=a(bc)
    • 【加法が可換】任意の a,bA に対して,ab=ba
  • A は乗法に関して単位元付半群である;
    • 【乗法の単位元】ある要素 e1A が存在して,任意のaAに対して, ae1=e1a=a
    • 【乗法の結合律】任意の a,b,cA に対して, (ab)c=a(bc)
  • 【分配律】任意の a,b,cA に対して,a(b+c)=ab+ac
このとき,Aという.


定義(可換環).A を環とする.A の乗法に関して,任意の a,bA が可換であるとき,すなわち,ab=ba
ならば,A可換環という.


定義(零元).A を環とする.A の加法に関する単位元 e0零元という.


補足.環の零元は 0 とあらわすことが多い.


定義(単位元).A を環とする.A の乗法に関する単位元 e1 を単に単位元という.


補足.環の単位元は 1 とあらわすことが多い.



 定義(可除環).集合 K に,2つの演算,加法と乗法が定義されているとする.K が次の2つの条件を満たしているとする;
  • K は環である.
  • 【乗法の逆元】任意の aK に対して,ある a1K が存在して,aa1=a1a=e
このとき,K可除環という.


補足.くだけた書き方をすれば,可除環とは
  • 加法に関して可換群であり,
  • 乗法に関して群をなし,
  • 分配律を満たすとき,
をいう.

 
定義(体).可除環 K の乗法が,K の任意の要素 a,b に対して可換ならば,Kという.


補足.可除環の場合と同様な書き方をすれば,体とは
  • 加法について可換群であり,
  • 乗法についても可換群をなし,
  • 分配律を満たすとき,
をいう.

-

以上,群・環・体の定義である.

演算に関する定義と,群環体の定義は分けて欲しいと思っていたし,そうしないと自分がわからない.

一般論としてはどうかわからないが,私としては,こういう順番で書いてもらうのが一番わかりやすい.






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2018年5月10日

演算の定義(群・環・体の準備)

群・環・体の定義の前に,演算についてこれぐらい書いておいてもらわないと,私にはわからないので,自分なりに演算の定義をまとめておく.

拙著「集合論」を読まれた方には見慣れた書き方と思うが,私の「書式」には本文がほとんど無く,「定義・定理・証明・補足 」が淡々と続く.以下でもその方法を踏襲している(自分で「タナカ式」とよんでいます).

なお,集合論(今回の場合は「写像」)については既知であるとして説明している.

✅手元の iPhone で確認したところ, スマホモードではTeXコードが表示され,Webモードでは,数式の表示が一部うまくいかないようです.


演算 


定義(演算).X を集合とする.写像 g:X×XX
  • 集合 X 上の演算
という.


定義(積).集合 X 上に演算 g が定義されているとする.このとき,(a,b)X×X の像 g(a,b)といい
ab

とあらわす.


補足.集合 X 上に定義されている演算g を,その積の記号を用いて

演算

とよくあらわす.


定義(単位元).集合 X 上に演算 が定義されているとする.ある要素 eX が存在して,任意の aX に対して,ae=ea=a
であるとき,e単位元という.


補足.演算 における単位元 e

0
1

などとよくあらわす.


定義(逆元).集合 X 上に演算 が定義されているとする.任意の aX に対して,ある bX が存在して,
ab=ba=e

であるとき,b を「a逆元」という.


補足.演算 における a の逆元を

a
a1

などとよくあらわす.


定義(可逆元).集合 X 上に演算 が定義されているとする.任意の aX に対して,a の逆元が存在するならば,a可逆元という.


定義(可換).集合 X 上に演算 が定義されているとする.任意の aX に対して,ある bX が存在して,

ab=ba

であるとき,「a,b可換である」という.


定義(結合律).集合 X 上に演算 が定義されているとする.任意の a,b,cX に対して,

(ab)c=a(bc)

であるとき,これを結合律という.


定義(分配律).集合 X 上に2つの演算 , が定義されているとする.任意の a,b,cX に対して,
a(bc)=(ab)(ac)

であるとき,これを分配律という.


-


以上である.


これらの定義は,群・環・体の定義の中で述べられることが多いが,私はそれを見て,どうにもスッキリせず,モヤモヤしていた.

モヤモヤの原因が何であるのかわからなかったのだが,試行錯誤するうち,演算に関する定義を抜き出して,先に述べてから,群・環・体の定義を書けば流れるように読めることがわかった.

やはり,わからないと思ったら,自分で再構成するほか無いようだ.

というわけで,次回は(多分)群・環・体の定義である.





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