数日前より,
第2版で当初予定していたかたちになった.
本冊子の1つめの特徴は「定理・命題の証明を省かずに書いた」ことである.
定理の証明は数学の要諦であるから,それを省くなど道断である.殆ど自明な定理であっても,証明を省くのはダメである.例え1行で済む証明であっても省いてはいけないというのが私の考えである.
2つめの特徴は「図がない」ことである.
図は,理解のための便宜を図るものであって,本質ではないという考えを推し進めた結果である.
(本質ではないというのは言い過ぎかもしれないが,敢えてこういう表現をする)
円や楕円で集合をあらわすことが多いが,それに惑わされて,集合とは円で囲まれたものであるというようなとらえ方をされる場合があるらしい(出所不明の伝聞だが).それならばいっそのこと,図を書かずに,論理だけで示していくというのも一つの方法だと考えた.
ただ,図があった方がわかりやすいだろうから,今後,改訂を進める中で,図を追加していくかもしれない.
3つめの特徴は,いわゆる「全書式」の形式をとったことである.
集合論に限らず,殆どの数学の教科書は,いわゆる「講義式」で書かれている.悪くはないのだが,時折,どこからどこまでが定義で,どこからが定理で,証明がどこから始まってどこで終わっているのかが,つかみにくい場合がある.
教科書自体が著者の口述筆記のようになってしまっていて,定理の前提条件が離れたところにさりげなく書いてあったりする.一個所にまとめて書いていないので,要点をつかみづらく,自分用のノートがつくりにくいのである.
もう一つ,特徴というほどではないが,気をつけたこととして,「あきらかに何々である」という表現を使わなかった点を挙げる.
数学の専門家の書き癖なのか習慣なのか,「あきらかに何々である」とかけば,それが免罪符となって,途中をばっさりと切り捨て,好きなだけ省略してもいいようである.
なお,数理論理の基本的なことは既知として話を進めたので,本冊子ではそのあたりの解説はしていない.集合論を書くにあたって,内容を集合論に絞るべきとの考えからである.
数理論理に関しては,集合論の補足とするか,別冊子とするか,このブログで書くか,いずれ何らかのかたちでの説明は必要だと考えている.
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